資金を調達する方法として、金融機関や投資家から調達する方法が主流ですが、金融機関は貸出金がきちんと返済できる能力があるか、投資家は出資した分リターンがあるか、という厳しい目を持った人たちとの交渉に臨まなければならず、ましてや創業間もない実績のない起業家にとって、そこから資金を調達することはかなり難しいものがあります。 そこで、日本政策金融公庫による創業融資制度や自治体による制度融資が創業間もない起業家にとって、有効な資金調達の方法ですが、現在、国の経済施策の一つとして新たに注目されている資金調達の方法があります。それが「クラウドファンディング」です。 「クラウドファンディング」とは、インターネットを通じて不特定多数の個人から資金を募る仕組みです。例えば、新たに事業を始めようと考えたとき、その資金を募るために、クラウドファンディング専用サイトにそのアイディア(事業計画)を公開します。それを閲覧した一般の人が、その事業計画に共感し、応援したいと思ったら、一口数千円から数万円程度の支援をしてくれるのです。この資金を出してくれる人数が増えるほど、調達できる資金も大きくなります。 クラウドファンディングの仕組みは、お金を出資した人に対するリターンの仕方で、さまざまな形態があります。 ◇クラウドファンディングの仕組みの一例 寄付型 寄付というかたちで資金を受け取る形態です。寄付という性質上、社会貢献など意義のある事業に有効な仕組みです。もちろん寄付ですから、返済する必要はありません。 購入型 支援者が事業へ出資することで、そのリターンとして出資金額に応じた商品やサービスを得ることができる形態です。購入という性質上、商品やサービスを提供する事業に有効な仕組みです。 金融型 支援者が事業へ出資することで、そのリターンとして配当や利益の一部、株式が発行される形態です。 ◇クラウドファンディングの利用の流れ ステップ①申し込み クラウドファンディングサービスが利用できるサイトへ申し込む。 ステップ②審査 クラウドファンディングサービスの運営会社ごとに定めた基準で審査が行われる。 審査ポイントの例 1.実現可能性のある事業かどうか 2.具体的なリターンが設定できるかどうか 3.多くの人に応援してもらえる事業かどうか など ステップ③事業計画作り サイト上に公開する事業計画を作成します。 ステップ④公開、拡散 完成した事業計画をサイト上に公開し、支援者を募ります。 募集期間は平均1カ月程度です。 多くの人の目に留まるようブログやツイッターやフェイスブックなどで拡散する。 ステップ⑤事業開始の準備 目標金額に達すれば、実際に支援金を受け取ることができます。 その支援金を元手に、事業を開始します。 ◇クラウドファンディングのメリット・デメリット メリット ○自己資金がなくても開業資金が得られる。 ○返済義務のない資金調達が可能。 ○クラウドファンディングでの資金調達に成功すれば、金融機関との交渉が有利になる。 ○開業前から顧客(支援者)が確保できる。 ○自分の事業計画やビジネスモデルが市場に受け入れられるか、マーケティングとして活用できる。 など デメリット ○考えた事業計画やビジネスモデルが盗用される可能性がある。 ○クラウドファンディングでの資金調達に失敗すると、その事実をネット上で公開することになる。 など |